心の晴れ間
仕事にもだいぶ慣れてきた。
旦那がいたころは、家事がおろそかになることを危惧して、私は病院勤務をためらっていた。
旦那の死後、それでも勇気がなかった私は一度は有料老人ホームを選んだものの、その施設のやり方に疑問だらけで耐えられず、一か月で退職を決めた。
『医療』がやりたい。
でも、長い病院勤務のブランクという壁を超えるのに時間がかかった。
時間は待ってくれない。
どんどん貯蓄が減っていく。
いろいろな想いの中で出したのが、以前といってもまだ看護師になる前の、ヘルパーとかの資格も特にない時代だったと思う。
何も考えずに看護助手という仕事に就いた。
山奥にある、精神科。
とはいうものの、当時からお年寄りが多く入院していた。
認知症という病名は、昔は痴ほうだった。
あれから20年ほどたって、私はもとの病院に看護師として戻ることになった。
・・・甘かった。
ナメていた。
『医療』から遠ざかっていた私には、難関ばかりが待っていた。
最初は泣いてばかりいた。
弱気になって、パートになることも師長に相談した。
相談したら、楽になって、当面は日勤常勤で頑張っていくことになった。
今は、楽しくて楽しくて仕方がないとは言えないものの、楽しさも感じられるようになってきた。
できなかったことが、できるようになったとか、そんな些細な喜びが私の支えになってくる。
自分ではいっぱいいっぱいなのに、そう見えない自分も『損』だとは思わずに肯定できる。
言葉にしてしまえばいいんだと、わかったから。
たまに、弱音を吐いたっていいんだ。
できないことを、できるフリはやめよう。
こんな小さな積み重ねかもしれない。
最近は心が晴れやかな日が増えてきた。
たまにツライ時には頓服薬のお世話になるけれど、鬱の薬も徐々に減らしていっていて、一人で心が乱れたりして泣くこともない。
一足早く、心は梅雨明け。
心の晴れ間がずっと続きますように・・・
嫌なことがあっても、崩れることなく生きていけますように・・・
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