『生きる』~最悪でも幸せでいようね~

旦那さんはひとりで逝ってしまった。。。♪~あの雲を越えて空へと続く 果てなき道のりを 君はひとりきり歩いてくこと あの日決めたんだね

平成27年10月3日。3年半一緒に暮らした内縁の夫は自死という選択をし、あの空の彼方へと旅立ちました。
私は一人で生きていかなくてはならなくなり、頑張ってきたけれど・・・鬱の再発、退職を余儀なくされ、それでもなんとか『生きて』いくことを選び、前向きに、時に後ろ向きに生きています。
そんな私のつぶやきに似た、日記というかなんというか・・・です。

忘れたい

旦那のことを忘れてしまいたい。

声も温度も、その面影も。

2SDKの狭いマンションのどこかの部屋に、ひっそりと旦那が隠れているような気がする。

もしかして、朝がきたら隣にでかい図体の男が寝ているんじゃないか。

そんな気さえする。


なんで、なんで死んだの?

どこへ行っちゃったの?

どうして一人で逝ったの?

なにがあったの?

おとうちゃん、どうして?


今もおとうちゃんのシャツを手放せずにくんくんしながら眠るんだよ。

色は変わって、においも変わった。

もうおとうちゃんのにおいじゃない。

でも、おとうちゃんのにおいなの。


いつもいつも、おとうちゃんにへばりついてくんくんとにおいをかいだ。

おとうちゃんのにおいと温度が好きだった。

その時間が私の「あまこ」の時間だった。


「あまこ」

それは甘えたいの意味。


今は「あまこ」したい人がいない。

おとうちゃんのシャツだけ。

シャツをくんくんしながら「あまこ、あまこ、おとうちゃん、あまこ」

私は赤ちゃんのようだ。


誰もいない部屋から部屋へと移動しながら「あまこ、あまこ、おとうちゃん、あまこ」と口走る。

異様な光景だと思う。

そんな私をモルが不思議そうに見ている(ように見えるだけ)こともある。



忘れちゃいたい。

おとうちゃんのことなんか。

私を置いて死んじゃったおとうちゃんなんか。

詳しい理由も残さずに死んじゃったおとうちゃん。

こんな裏切りはないよ。

忘れちゃって、ほかのステキな人と出逢って、幸せな結婚をしたいよ。

おとうちゃんが私の胸の中で生きている限り、私は誰とも幸せになれない。


私も死んで、生まれ変われたらいいのに・・・

おとうちゃんも、死んだんだから生まれ変われるでしょう?


また、出逢えるかな?

同じとき、同じ場所で、同じ瞬間に恋に落ちるのかな、私は。




最近、心が不安定でお酒を飲むと泣いて、いろんな人に電話してしまう。

「おとうちゃんに会いたい」

「おとうちゃんはどこ?」

「おとうちゃんが帰ってこない」

「おとうちゃん、おとうちゃん」


おとうちゃんのシャツを握りしめて、シャツで涙を拭き、

電話を切るとくんくんしながら眠りに落ちる・・・



シャツを捨てたらおとうちゃんを忘れられるのかな?

捨てられるのかな?



できないな。

きっと、絶対にできない。


おとうちゃんのシャツは、おとうちゃんの分身で、おとうちゃんのにおいで

おとうちゃんのぬくもり。

おとうちゃんそのもの。


でも、忘れたいよ。

つらいんだよ。

いろんなことが。

何ひとつ、いいことがない。

いいことがないように思えてしまう。


なのに、また今夜もおとうちゃんと寝る。

私はおとうちゃんの子供のように、「あまこ」しながら眠る。